鬼がトラ柄のパンツをはいている理由

Vol. 441
 鬼がトラ柄のパンツをはいている理由

鬼という字を使った鬼門という言葉がある。日常会話で一般に用いられる鬼門という言葉は、どうしても越えられない障害や様子を、またあるときは弱点や天敵を、あるいは忌み嫌われる対象を表し、いずれにしても良くないことについて使われるのは知っての通りである。

この鬼門は方角でいうと北東のことで、十二支で表すと丑(うし)と寅(とら)の間に位置する。時計を思い浮かべ、0時を子(ね)とすると、1時が丑になって、2時が寅になり、北東は短針が1時半のところで丑と寅の間ということだ。鬼門からは鬼が出入りすると考えられており、鬼門には昔から鬼除けを配置したり、門などの家の構造に鬼門の方角を避ける風習がある。

鬼に角が生えているのは丑の角、虎のパンツを穿いているのは寅から来ている。今となってはそのことを意識することは少なく、鬼門が持つ意味は多様に変化してしまったとはいえ、古来からの考えかたを周到していると思えば、鬼の絵一つとっても色々と感慨深いものがあるのだ。