太陽の外側を覆っているコロナは、約200万℃とも言われる非常に高温であるため、水素原子が陽子と電子に分解してしまう。このように電離した気体の状態をプラズマといい、太陽の重力を逃れて非常に高速で飛び出していく。太陽風とは、このプラズマが放出されて太陽から風のように吹く現象である。
太陽風は密度が非常に小さいため、光を反射する物質が無いに等しく目には見えない。また、宇宙には大気がないので地球上の風のように感じることもできない。しかし、フレア(太陽で起きている爆発)の後にオーロラが見られる現象や、彗星の尾が光って観測される現象(進行方向の後ろ側に尾ができるのは大気のような何かを切り裂いて進んでいる推測)から、太陽との間に光以外の何かが流れているのではないかと考えられていたのだ。
ところが、太陽風は目に見えないために地球上からは観測の方法がない。確からしい推測はあったのだが、1962年に打ち上げられたマリナー2号という金星探査機によって観測され、初めて存在が確認されるのである。