しゃぶしゃぶ鍋の真ん中の穴の意味

Vol. 465
 しゃぶしゃぶ鍋の真ん中の穴の意味

家庭では少ないかもしれないが、外でしゃぶしゃぶを食べると、ドーナツ状で真中が煙突のように突き出た独特の鍋が用意される。同じ鍋でもすき焼きやよせ鍋にしゃぶしゃぶの鍋を使うことなど考えられないので、しゃぶしゃぶ専用の鍋である。

この鍋の形は、中国から伝わったとされ、中国では真ん中の穴の部分に炭を入れて使っていた。真ん中に穴が開いているのはそれだけの理由ではなく、しゃぶしゃぶという料理においては大切な役割を持っている。

1つは排気口としての役割で、現在のようにガスコンロやホットプレートがない時代、七輪のような小さな器具でしゃぶしゃぶをしようとすると、炭が不完全燃焼を起こして危険が伴う。また、排気口があることで自然に吸気が促進され、酸素供給量が増えて火力がアップするという効果もあった。

もう1つは、しゃぶしゃぶという肉を熱湯やスープにくぐらせる料理にとって、温度の低下は用を為さなくなって良くない。鍋肌の面積が増えることで温度の低下を防ぎ、いつでもしゃぶしゃぶを楽しめるという利点も大きいのである。