料理店の入り口にある盛り塩の意味

Vol. 466
 料理店の入り口にある盛り塩の意味

料理屋の入口に盛り塩が置いてあるのを見たことはないだろうか。必ずしもあるわけではなく、根拠があって置いているものでもないので、最近は見かけなくなった。もっぱら小料理屋と呼ばれる、お酒を出す和食の料理店に多く、欧米から入ってきた洋食店では盛り塩を見ることは少ない。

塩は穢れを浄化するとして神事で用いられ、その習慣が庶民に伝わって、清めのために塩を撒くこともある。しかし料理屋の盛り塩は穢れを祓うのではなく、別の由来にあやかっているとされる。

古代中国において、牛車で訪れる皇帝の寵愛を受けたい女性が、自分の宿舎の前に塩を置き、それを牛が舐めることで牛車が動かなくなり、皇帝がその女性の所を訪れるという巧妙な作戦がその由来だ。そこから、客足を止めるおまじないのように、盛り塩を用いているという説が最も有力である。