Vol. 468
関東人は濃口が、関西人は薄味が好きなの?
関東の人が関西に行くと、うどんの汁の薄さに驚き、関西の人が関東に行くと、濃さに驚くという。関西で使われる薄口醤油と関東で使われる濃口醤油では、薄口醤油のほうが若干塩分が高いとはいえ、関西と関東では入れる醤油の量がまるで違うので、色がそのまま味の濃さにも繋がっている。
何も関西の人が薄い味を好むというわけではなく、例えばお好み焼きやたこ焼きに使うソースは、明らかに濃い味の系統だ。関東と関西の味の違いは、だしと水にあると考えられている。
魚でだしを取るときに、総じて関西のほうが煮る時間が短い。それは昆布でだしを取るときに、関西のほうが良くうまみが出ており、続いて魚でだしを取るときに短い時間で済むからである。逆に関東は昆布のだしが十分ではないので、長い時間煮て魚から多くだしを取り補う。
こうした違いは、関東ローム層で代表される火山灰質の地質から得られる硬水と、関西の軟水の違いが大きいという。軟水は昆布のうまみを引き出すのに適しており、関西では魚だしが少なくて済む。昆布の産地である北海道からは、日本海経路で関西に運ばれていた歴史的経緯があるため、関西では水の利もあって昆布だしの文化が進んだと考えられている。