トビウオはなぜ海面上を飛ぶことができるの?

Vol. 491
 トビウオはなぜ海面上を飛ぶことができるの?

トビウオが実際に飛行(滑空)する様を見たことはあるだろうか。非常に高速で飛び、落ちそうになると水面を尾びれで蹴ってまた飛行する。滑空しているときは時速50kmにも達するというのだから、あの小さな体のどこにそんなパワーを秘めているのかと不思議になる。

トビウオが全く生息に適さない水上に出てくる理由は、マグロなどの大型回遊魚による捕食を免れるためだと考えられている。そうでもなければ海から飛び出すことは、鳥にとって格好の狙い目になるばかりか、トビウオ自らが息絶えてしまう環境なので全く意味がないからだ。苦しい思いをしても今マグロに食べられるよりもマシといったところだろう。

トビウオの子供は、味付けしてオレンジ色のトビコ(トビッコ)として流通している。しかし、ほとんどの場合にはトビウオの子ではなく、カラフトシシャモの子である。更に複雑なのは、代用品になっているカラフトシシャモに至っても、名前にシシャモと付くだけで、シシャモとは全く別の魚である点だ。

つまり、トビウオの子はシシャモの子で偽装されているが、そのシシャモですら偽装されているので、回転寿司などで人気のネタは、多くがトビウオとは全く異なる二重偽装された魚卵であることを覚えておきたい。