「おはよう」というのは「お早う」であるから、早い時間を表す。そのルーツは歌舞伎といわれ、歌舞伎役者の準備には非常に時間が掛かることから、講演よりもかなり早く芝居小屋に到着し、その際の挨拶として「お早うございます」、つまり早く来たことを労う意味があったとされている。そこから転じて早い時間の朝に使われるようになるのだが、おはようございますには、もう1つ無視できない違いがあるのだ。
それは、時間によって変わる挨拶の中で、唯一「ございます」を付けられること。この点が挨拶という対外的な習慣にとっては大きく、「こんにちは」と「こんばんは」はそれ以上丁寧にできない。一般的には、朝におはようを使うだけに不思議ではあるが、確かにその場所で(その人にとっての)一日が始まるという点においても、おはようこざいますで良いのかもしれない。