ごく普通に良く見かける光景として、写真を撮るときのピースサインがある。手をじゃんけんでいうところのチョキの形にして、手のひらを撮影者側に向けるポーズで、意味があるかというと難しく、言葉が残らない写真ではアピールであったり、一種の照れ隠しの意味もあったりする。
このピースサインのピースとは、英語で平和(peace)という意味になるが、日本において写真を撮るときのピースサインには、全く平和の意味などない。恐らくほとんどの日本人の理解は、ピースサインという手の形状を表す1つの固有名詞であって、平和の印(しるし)であることなど、微塵も感じていないだろう。
ピースサインは、ベトナム戦争への反戦運動によって、平和を願う人々のアピールとして用いられた。それがいつの間にか日本に取り入れられ、全く違う用途で使われているのは、何とも不思議な現象である。ただし、喜びや勝利、達成などを表すVサインと形状が同じであるために同じような場面で使用され、区別されていないことから、ピースなのかVなのかは他の人にはわからない。