聞いてしまうとがっかりしてしまうかもしれないが、神社のお守りが作られるのは専門の業者の工場である。そしてお守りのように、神社ごとに異なり数も少ないものは、大量生産ができないために、受注生産の手工業になり、採算性という点で大きな会社は手を出さない。材質についても伝統的にある程度決められているため、ビジネスとして入り込む余地が少ない業界だからである。
お守りは全国の神社で異なるスケジュールに合わせ、多くの種類を少量ずつ作っていかなくてはならない。こうした作業は、一般にパートタイムの婦人によって行われるという構図が世の中にはできあがっている。つまり、今持って歩いていたり車に取り付けていたりするお守りは、見知らぬご婦人(あえて言うならおばちゃん)が時間給で作り上げたものかもしれないのだ。
ただし、神社で販売するからには、納入された物をそのまま販売するということにはならず、お守りの目的に合わせて、必ず神社で祈祷されてから売られるので心配はない。それでもお守りに頼る気持ちが薄れてしまうだろうか。だが、どのようなお守りであっても信じなければ救われないのである。