セミの鳴き声が大きい理由

Vol. 531
 セミの鳴き声が大きい理由

日本でよく見られるセミは、体長が6cm程度(アブラゼミの場合)でそれほど大きくはない。それにもかかわらず、セミの鳴き声は実に大きく、あちこちで鳴きはじめて合唱状態になると、癇に障るほどの音量に達する。

セミの鳴き声の大きさは、体の構造がその理由になっており、オスのセミのお腹はほとんど空洞も同然だ。お腹に発音のための筋肉があって、超高速に震わせ、空洞を利用して共鳴させることで大音量にしているのである。

そんなに大きく鳴かなくても…と思うだろうか。だがそれは人間の都合であり、メスを呼び寄せるために鳴くオスにとって必死の行動なのだ。成虫が地上で生きていられるのは、早ければ1週間、長くても1ヵ月程度とされている。幼虫として何年も地下に潜り、成虫になって僅かな期間だけ鳴くことを思えば、少しはうるさいのも我慢してあげるべきかもしれない。