面白くもなく何の興味も湧かない事がらに対して、くだらないという言いかたが良くされる。このくだらないというのは「くだる」の否定形であることは明らかでも、対して「くだる」というのが面白いという意味で使われないだけに不思議な言葉である。
くだらぬが変化してくだらないになったのは容易に推測できるとして、くだらないの起源がどこにあって、どうしてくだらないになったのかは諸説ある。代表的なのは「通じる」という意味の「くだる」が、通じないという意味のくだらないに変化したという説、もう1つは、下方(関東)のお酒がおいしくなかったために、関西(上方)から贈られたおいしい「くだり酒」と区別して「くだらない酒」という使いかたがされ、それが価値が低いという意味に転じたという説である。
それらしい説明なのだが、それなら「くだる」という使いかたが残っていてもおかしくない。否定的な意味のくだらないという言葉だけがあり、肯定が存在しないというのも珍しい。こうして考えてしまっている時点で、既にくだらない話ではない。