時計がない時代はどうやって時間を知っていた?

Vol. 571
 時計がない時代はどうやって時間を知っていた?

人類が誕生する前でも昼と夜はあったのだから、動物たちは太陽や月の位置、明るさなどで時間の感覚を持っていたことは容易に想像できる。しかし人類は、天候に左右される太陽を見る方法では時間を知る目的に足りないことから、太陽によって生じる影の長さや角度を利用して時間を知ろうとした。これが紀元前からある日時計の始まりである。

晴れているという条件下なら、精巧に作られた日時計は生活上、十分な精度を持っている。だが古代の人々にとってそれは無理な注文であっただろう。そこで考え出されるのが、時間と共に減少していく作用を利用したもの、例えば水や砂が流れ落ちる、ロウソクや線香が燃えていく速さを利用するなどの簡易時計だ。

日本の江戸時代では、鐘を使って時刻(十二時辰)を一般に知らせ、居住者がそれを認知して行動するという生活形態があり、不正確ながらも時刻の感覚を持って生活していた。そのとき外国でようやく機械式の時計が発明される頃なので、その当時の日本が精度の高い機械式の時計を手に入れることは叶わず、人々が現代のような時刻感覚を身につけるのも、ずっと後の時代である。