トリガイの名前の由来

Vol. 607
 トリガイの名前の由来

寿司ネタでおなじみのトリガイは、北海道を除いた日本全域で獲れることから、全国的に親しまれている。通称オハグロといって、黒くなった足の部分を食べるのが特徴だ。トリガイの鳥という字は、足の形が鳥に似ているという説(烏帽子に似ているからという説も)、食感が鳥肉のようだからという説が有力で、誰が命名したかなど詳しいことはわかっていない。

トリガイの場合、足を開いて内臓を取り出し、多くは湯引きした状態で並べられ、冷却もしくは冷凍で流通する。生のトリガイが存在しないことはないのだが、トリガイならではの問題点があって生の剥き身は流通しにくいのだ。

オハグロという名前の由来にもなっている足の黒い部分は、表面的なものでしかないため摩擦ですぐに落ちてしまう。黒いほど価値が高いトリガイにおいて、黒い色が取れてしまっては、もはやトリガイの特徴を失い価値が下がる。そのため湯引きしたトリガイでも、黒い部分が極力重ならないように並べて商品になるのである。