必殺シリーズの殺し技に「催眠術」があった

Vol. 618
 必殺シリーズの殺し技に「催眠術」があった

日本のテレビ独特の時代劇では、歴代の様々なヒット作が存在する。中でもシリーズとしての必殺シリーズは、それぞれでは長編こそ少ないが、1970年代・1980年代を間違いなく支えていた高視聴率番組であった。

ストーリーとしては、時代劇にありがちな悪を裁く展開で、弱い立場の人間から依頼された仕事人(シリーズによって名前が違う)が、依頼者の恨みを晴らす(従って恨みが残るようなバッドエンドから終盤に復讐劇が始まる)という、他とは少し違ったシナリオで人気シリーズとなる。

依頼を受ける側の登場人物は、大抵は道具や怪力を使って依頼を遂行するタイプがほとんどで、正統的に刀を使うタイプもいる。異色なところでは、催眠術を使う「塩八」という人物が、シリーズ11作目の「新 必殺からくり人」に登場した。実在の高名な落語家である3代目古今亭志ん朝が出演しており、古今亭志ん朝扮する塩八は、その話術を使って催眠術をかけ、屋根に登らせて転落死させるという、変わったスタイルを持っていたのである。