タイヤの色が黒い理由

Vol. 668
 タイヤの色が黒い理由

公道を走る自動車のタイヤは例外なく黒い。これはタイヤにカーボンブラックという物質が加えられているからである。カーボンとは炭素のことなので、炭を粉々に砕いてゴムに混ぜていると考えて概ね正しい。カーボンブラックは相当の量が入っており、タイヤは真っ黒になる。

今から100年ほど前、ゴムにカーボンを混ぜると強度が増すという発見があり、それ以来、タイヤ業界は、カーボンブラック入りでなければ実用に耐える強度の製品を出せていない。カーボンブラックは、加えるほどゴムを固くするが、固すぎてもゴムの良さが出ないため、弾力性を与える硫黄を加えたり、カーボンブラックの量を調整して製品化される。

一方、カラーのタイヤが全くないかというとそうではない。タイヤ用ゴムの生成時の着色の問題であるため、技術的には十分可能で販売もされている。ただし用途が限定され、工場内などで走行を目的としない運搬車両(フォークリフトなど)に使われる。カラータイヤが使われる理由は、黒い色で床が汚れたり、摩耗したタイヤが黒いホコリとなって室内に舞い上がるのを嫌うためである。