コオロギは羽をこすり合わせて音を出している

Vol. 669
 コオロギは羽をこすり合わせて音を出している

秋に鳴く虫の代表格にコオロギがあり、実のところは鳴いているのではなく、羽をこすり合わせて音を出しているだけだ。具体的には、コオロギの羽はヤスリのような形の面と、コブを持った面に分かれ、片方のヤスリと片方のコブを組み合わせて音を作っている。そして羽を持ち上げるのは、音響面での役割が大きいと考えられている。このような構造は、人間が使う楽器にも良くあり、電気的な楽器以外では、音が響かせるために共鳴室となる空洞を持つ。

羽をこすりすぎてすり減らないかといえば、角質でできたコオロギの羽も、さすがに延々と鳴き続けたらいつかはすり減るだろう。しかし現実には虫の一生は短く、秋の夜長を一心不乱に鳴き続けても、羽が摩耗して失われるような事態にはならないのである。