片方からは見えてもう片方からは見えないという不思議なマジックミラー。夜暗くなると窓ガラスを通して明るい家の中が外から見えるが、家の中からは暗い外の様子が見えないのと原理的にはそれほど変わりはない。
どこの家でもある鏡の場合、光を完全に反射することで、鏡の前にある物の姿を映し出す。マジックミラーの場合にはその反射率を抑えて、一定量の光は反射し、一定量の光は透過するように調整したガラスのことである。つまりマジックミラーとは、透明なガラスと鏡の中間的なガラスなのだ。
ただし、マジックミラーは、双方が同じ明るさの場所の間においても全く機能しない。単に片側から見えて反対からは見えないような、まさに魔法のような構造ではなく、あくまでも明るさに違いがある場所に設置することが大前提となる。例えば車内を外から見えなくするためにフィルムを貼るのは、マジックミラーの原理と同じである。フィルムが全反射するタイプなら、車内からも窓ガラスが鏡になってしまい、一定量の光を通さないと車用のフィルムは機能しない。