ピアノの鍵盤が白と黒の理由

Vol. 677
 ピアノの鍵盤が白と黒の理由

現在においてピアノを含めた鍵盤楽器は、白と黒の鍵盤から成り立っている。この配色には歴史があり、時代を経て現在の色に落ち着いたものだ。

14世紀ごろに発明されたクラヴィコードという鍵盤楽器は、ピアノでいうところの白い鍵盤を普通の木で、黒い鍵盤を黒檀(こくたん)という固いことで知られる黒い木を使って区別していた。これは現在の配色に近いが、白い鍵盤に相当する部分は、使い続けるうちに摩耗し汚れてくる。そうすると全体が黒くなって使いづらくなってしまった。

18世紀になってピアノが登場すると、象牙の登場によってピアノにも象牙が使われるようになる。象牙は当時から高級品であったこともあり、摩耗しやすい白い鍵盤には黒檀を、黒い鍵盤には象牙を使うことで、白黒の逆転現象が起こる。

元々音楽は富裕層の嗜好であったことから、やがて美術品としてのピアノにも、ふんだんに象牙を用いることで富を誇示するようになり、白い鍵盤は象牙、黒い鍵盤は黒檀という、現在の配色に戻ったというのが真相と考えられている。