まぶたが腫れる「物もらい」の語源

Vol. 678
 まぶたが腫れる「物もらい」の語源

まぶたに細菌が感染し、膨らみを伴って腫れた状態を、物もらいと呼ぶ。この時点で既に違和感がある人は多いだろう。そう、物もらいというのは主に関東地方で使われる方言(共通語だとする説もある)だからだ。

正式名称を麦粒腫(ばくりゅうしゅ)といい、関東圏では物もらいでも通用するが、関西でも近畿地方では「めばちこ」や「めいぼ」と呼ぶ。人口分布的にはこれらで体勢を占めているとはいえ、他の地域でも独特の呼び名があり、熊本のおひめさん(おひめさま)など、聞いただけでは物もらいのことだとは思わない名称もある。

物もらいという名称から、伝染するようなイメージを与えるが、単に細菌感染なので伝染の心配はない。物もらいと呼ばれるゆえんは、物もらいを患ったときに、他の家に食べ物を貰いに行くと治るという言い伝えがあるためだ。余程食べ物に違いでもなければそんなことは当然なく、数日もすれば自然に治る。大抵はピーク時だけ気になり、気にならなくなったときには既に治っているくらいである。