お金の歴史のはじまりは和同開珎?

Vol. 691
 お金の歴史のはじまりは和同開珎?

日本において最初の貨幣は和同開珎(わどうかいちん)という名称で、この名前は歴史の教科書にも登場するので記憶にある人もいるはずだ。和銅元年(708年)から製造され、朝廷が発行した流通貨幣としては最初とされている。実はそれ以前にも富本銭(ふほんせん)という貨幣が存在していたことはわかっていても、貨幣として使用されていたかどうかは定かではない。

古来から、貨幣というのは貨幣そのものに価値があって、それは江戸時代の大判・小判で象徴されるように、印刷がなければ紙きれ同然の現在の紙幣とは性質が異なる。それでも、和同開珎は製造原価に対して貨幣としての価値が圧倒的に高かったことから、偽造を招くという現在と同じような現象が発生した。今のような偽造防止技術もない時代、お金を作るほうが安ければ作ってしまおうと考える人がいても当然だろう。

また、当時は貨幣という概念が浸透しておらず、物々交換が主流であったことから、それほど流通していなかったと考えられている。この点においても日本の貨幣制度のスタートは、順風満帆とはいかなかったようだ。