釈迦は生母である摩耶夫人が、出産のために実家に帰る途中、ルンビニー(ネパールにある村)の花園で花に手を伸ばしたときに、脇の下から生まれたとされている。なぜ脇という非現実的なところから生まれてきたのかと、大抵の人が思うだろう。それには現在インドのほとんどを占めるヒンドゥー教の基になる、バラモン教が関与しているという説がある。
現在では法律上で禁止されているが、インドにはカーストという身分階級制度があって、それは今でも根強く実態として消え去ってはいない。カーストでは4つの階級があり、身分の高い順にブラフミン(司祭)、クシャトリア(王族)、ヴァイシャ(平民)、スードラ(奴隷)という順だ。
そして重要なのが、バラモン教ではブラフミンは神の頭(口)から、クシャトリアは脇(腕)から、ヴァイシャは腿(腹)から、スードラは足の裏から生まれるとされている。そして釈迦は脇から生まれたという。
釈迦は、北インドの小国、釈迦族のシュッドーダナという王に嫁いだ摩耶夫人の子だ。つまり、王族であるために脇から生まれたと考えられているのである。