Vol. 704
ピッチャーの投げたボールのスピードを測る方法
剛速球による真剣勝負、華麗なグラブさばき、豪快なバッティングなど野球の楽しみ方は人それぞれだが、具体的に数字となって表れる球速表示は、ピッチャーに対する評価の指標としてシビアに語られやすい。投球直後に表示される球速の測定は意外にも身近に体験できる現象を応用しており、それは救急車・消防車・パトカーなどが鳴らす大きな音のサイレンである。
これらの車が通過して行くと、近づく時は高い音が、遠ざかる時は低い音が聞こえる。とても変な感覚に襲われるが、その理論まで知る必要はなく、重要なのは音源が移動していると音程(音波の周波数)が変わるという事実だ。だがピッチャーの投げる球から聞き取れるような音は出ていないので、ここで発想の転換が必要となる。
音は聞こえなくなってしまうので、球速を測る場合には電波を利用するのだが、そう聞いても「球は電波だって出していないのでは?」と思うだろう。しかし球に電波を当てると跳ね返ってくるので、跳ね返ってきた電波は、球から出ていると考えることができれば解決したも同然だ。
球で反射される電波は、球が動くと音のように周波数の変化となってキャッチできる。その変化の度合いから計算すると球速が割り出せるのである。