新茶と呼べるのはいつまでか?

Vol. 707
 新茶と呼べるのはいつまでか?

大よそ1年に1回獲れる作物については、その年に市場に出始めると「新」が付くことが多い。新米、新ソバなどが代表的で、地域の産物によって他にはみられない作物も「新」が付いて新鮮さをアピールするためだ。

新茶の場合、最初に茶葉を摘むのが5月上旬で一番茶と呼ばれることから、一番茶のことを新茶と呼ぶ習慣がある。お茶は年に4回まで摘むことができて摘みたてなら全て新茶というわけではない。新茶とは一番茶に与えられた特別な名称である。

ところが保存技術の向上で、摘みたての一番茶とほとんど変わらない風味を年中楽しめるようになったため、新茶の区別は非常に曖昧となった。未開封であれば新茶と呼べる状態が普通に見られ、新茶は決まった期間だけ味わえるものというイメージが崩れている。

茶の販売を生業にする業界では、7月から8月にはパッケージの新茶シールを剥がして販売する自主的な規制が行われている。そうしないと成分的にはそれほど変わらない「年越しの新茶」が存在してしまい、逆に次の新茶の価値が薄れてしまうのだ。