赤い雪が発生する現象

Vol. 708
 赤い雪が発生する現象

事件を連想したい人にとっては、いきなりタネ明かしになってしまうが、何も赤い雪が空から降ってくるという意味でも、赤い色の液体が飛散した結果でもない。雪が色を付けたわけでもないのに赤くなっていることがあるのは本当で、氷雪藻(そう)と呼ばれる藻類の発生によって起こり、雪が赤く見えるほどに大量に発生すると「赤い雪」になるという仕組みだ。

雪上藻とも呼ばれる氷雪藻は、藻の仲間なので良く知られているように緑色であるのが通常である。ところが環境によっては赤い色素を持って赤く色付いたり、黄色の色素を持つ種類も存在する。この仕組みは、樹木における紅葉と似たようなもので、紅葉のように緑のものが赤に変化するわけではないが、そのとき多く含む色素によって緑や赤といった色が決まる。

日本でも見られる現象とはいえ、10℃を超えると生息できないという条件のため、見られる地域は年間を通して温度が低い高所に限られる。雪山に登ることがある人なら、見られる可能性はあるだろう。