人間でいうところの唇に該当するのかどうかは定かではないが、口のまわり(ふち)が黒い犬は非常に多い。あまり毛色に関係なく口のまわりは黒っぽい色をしているので、心配になってしまう飼い主がいるほどだという(悪性黒色腫と呼ばれるメラノーマも黒いため)。
全身を毛に覆われていて保護されているように見えても、毛に覆われていない場所は、常に紫外線を受ける。紫外線が有害であるのは知ってのとおりで、黒い色は紫外線の害を少なくする。陽に当たらない口の中なのになぜ?と思うかもしれないが、それは犬を少し観察すれば簡単にわかるだろう。
犬というのは本来は鼻呼吸であっても、少し運動しただけで体温の調整のために舌を出して「ハッハッ」と呼吸をする。そして体温調節をする機会は日常において意外と多く、割と頻繁に口を開けている。
毛が生えていない口の中を紫外線から防ぎたくても、口を開けないと体温が上がり過ぎてそれ以上に危険なため、口の中は犬にとって紫外線から防御しにくい場所なのだ。