日本の硬貨はどっちが表でどっちが裏なの?

Vol. 721
 日本の硬貨はどっちが表でどっちが裏なの?

良く知られた話ではあるが、日本の硬貨は製造年がある側が裏、図が入っている側が表である。ただし、これは法律で定められているわけではなく、扱いとしてそうしているだけで、厳密に表裏という概念はない。表と裏の感覚が真逆であるため、話のタネにされやすいが、表も裏も決まっていないというのが正しい解釈だ。

明治時代の1871年には、龍紋が貨幣に使われ、龍紋があるほうを表と定めている。そして2年後の1873年には、当時の2銭銅貨でなぜか龍紋のある側が裏になっている。更に翌年には1円銀貨で龍紋のある側が裏になり、やはりこれまでの貨幣と違う結果になってしまった。そのため翌年1875年に、改めて龍紋のある側が表にされている。

この流れで進むと図が入っているほうは表になるのだが、1897年の貨幣形式令では表と裏は定められず、ここから表と裏のない貨幣はスタートしている。それまでの龍紋に代わって菊の紋章がある側を表として慣習的に区別していたが、やがて菊の紋章も使われなくなり、ずっと製造年のある側を裏としていた経緯から、現在でもそのようにしているというだけである。