脱脂粉乳とは

Vol. 724
 脱脂粉乳とは

年配の人にとっては、子供時代の嫌な思い出といえば、戦争と結び付いて脱脂粉乳の不味さを挙げる人も多い。敗戦によって飢餓状態であった日本の子供たちに、栄養価の高い食べ物を与える目的で給食に使われたが、とにかく不味い(というよりも臭いがきつい)というイメージしかなく、飽食の時代に生きてきた今の子供たちは間違いなく飲まないだろう。

ただし栄養価については保証付きで、味はともかく子供たちを育てなければ次の日本がないという観点からは、給食という半ば強制的に脱脂粉乳を与えてきたことについては是非もない。そうしなければ、団塊の世代が高度成長期を支えることもなかったのかもしれず、今の日本はどうなっていたかわからないのだ。

脱脂粉乳は、牛乳から乳脂肪分を取り除いた(脱脂した)粉末で、現在でも売られているが、現在売られている脱脂粉乳を溶かして飲んでも、当時とは品質がまるで違うため再現にはならない。牛乳と低脂肪乳を飲み比べたとき、明らかに低脂肪乳はコクが劣るが、それを究極まで低脂肪にしていったと想像しても、当時の脱脂粉乳には及ばないのである。