屯田兵とは、明治時代に北海道の開拓と警備、軍事訓練を目的とした部隊のことであるが、100年以上も経った今では、北海道と関東に展開する和食レストランチェーンの方が、その地域では有名になってしまったかもしれない。教科書で見るだけの屯田兵に対して、屯田兵制度から名前を採用したそのレストランは日常的に目にするからだ。
屯田兵制度は、幕末において立場を失った士族の行き先として考えられていた。何しろ全国の武士たちは親会社である幕府が倒れることで生活上の危機に直面してしまう。華族となるには身分の高い公家や大名クラスでなければならず、大多数の禄の低い武士たちは生活の危機と直面することになるからだ。そこで今でいうところのリストラ対策として、職を失った武士たちを北海道に送り込んでしまおうというのだから、良く考えられているが当の本人たちには厳しい現実であっただろう。
屯田兵という考え方は、北海道の開拓にだけ使われていたものではない。ローマ共和国や中国においても、領土を広げると屯田兵を送り込み開墾を進めていったという。