入れ歯の歴史〜どれくらい昔から存在するの?

Vol. 741
 入れ歯の歴史〜どれくらい昔から存在するの?

入れ歯の起源は相当古く、紀元前には遺跡として発掘されていることを考えると、古代人もやはり虫歯に苦しんだのであろう。だが、そこまで古い入れ歯は本当に生前に使われていたのか定かではなく、歯の抜けた死者に対して弔いの意味で埋葬用に作られたものかもしれない。

実用的な入れ歯は、18世紀ころのヨーロッパでも作られていたが、動物の骨や象牙などで作った入れ歯は変質したためにひどく臭ったという。それに対し、日本で16世紀に作られた入れ歯は木製であった。

日本における木製の入れ歯技術は非常に高く、現在の入れ歯の原理と同じように、入れ歯の本体が上あごに吸着する。吸着を実現するためには口内と高い精度で一致しなくてはならず、そのために歯医者では型取りするのだ。同じように型取りができない16世紀において、吸着するレベルまで木を削りだす精密さは、繊細な仕事を得意とする日本人を表す工芸作品とも呼べる品物である。