キツネと油揚げの関係

Vol. 778
 キツネと油揚げの関係

油揚げが入ったうどんを俗にキツネうどんと呼び、揚げ玉(天かす)を入れると関東はタヌキだが、大阪でタヌキは油揚げの入ったそばの事で、必ずしもタヌキについては用法が一致しない。だがキツネうどんは全国で通用するだろう。

全国の至る所で見られる稲荷神社は、いうまでもなく油揚げを使った「稲荷寿司(いなりずし)」の語源で、稲荷神社に祀られる神の使いがキツネとされている。そして油揚げや稲荷寿司が供えられていることも多く、それはキツネの好物だという古くからの言い伝えによるものだ。

稲荷信仰が始まった当初は油揚げではなかったが、キツネが油揚げを好むという風説が流れ、その由来は多くの説がある。キツネが神の使いではなくオオカミやジャッカルで、その好物がネズミの揚げものだったことが、殺生を嫌って油揚げになったという説や、単に油揚げの色がキツネ色で、稲荷寿司はキツネの姿を表しているという説など幅広い。