Vol. 788
鳥肌が立つのは体温の放出を防ぐため、保温の役割があるのだ
震えると同時に起こりやすい鳥肌は、温度によるものだけではなく、刺激や恐怖・感動といった精神状態の変化でも起こる。鳥肌の正体は、立毛筋という体毛周辺の筋肉が収縮し、体毛は垂直方向に向くと同時に、毛穴は若干隆起する現象である。
さてこの鳥肌だが、本来は体温の放出を防ぐための機能として存在する。恒温動物においては、体温を失うことは生命維持に著しく障害となるため保温目的で鳥肌が立つことがわかっている。鳥肌が立つと普段は横になっている体毛が垂直に立つことで、毛と毛の間にある空気の層が厚くなり、断熱効果が発生する。つまり毛がフカフカにすることで暖かくしようという試みであり、交感神経による自律性体温調節機能と呼ばれている。
怖い映画を見た時に鳥肌が立つのは、同じように交感神経が働き出すことで、立毛筋が動いて起こるという原理は同じである。ちなみに人においては体毛が少ないので、鳥肌による保温効果は他の動物に比べると微々たるものだ。人は暖房や衣服などで影響を軽減できることもあって、体温保護目的としての鳥肌の必要性は少なくなっている。