死海という何とも縁起の悪い名前の湖が、アラビア半島のイスラエルとヨルダンの国境に存在する。元々は海であったと考えられているが、現在は川の水が流入するのみで、水が出ていく川がない湖である。
川から水が流入するということは、だんだんと水が溜まって深くなり、いつかは溢れて川になるような気がする。しかし、非常に雨が少なく温暖な気候から、常に水分が蒸発しており、塩分が残って高い塩分濃度を保っている。名前が死海であるのも、その塩分濃度から生命が存在しない(ただし一部の生命は確認されている)ことが由来だ。
どうしてこのような場所が生まれたかというと、プレートの活動による断層が原因とされている。最大水深は433mで、水面の海抜がマイナス400m以上と、かなり低い位置にあるのも死海の特徴で、世界一地表の低い場所としても知られる。単純に考えるなら、800mの穴(海抜+水深)に、400mの高さまで塩水が溜まっている、巨大な水溜りだともいえるのが死海なのである。