海難事故のニュースを聞くと、なぜかパナマ船籍が多い。実際、世界の船がパナマ船籍に集中しているわけではないのだが、それだけ世界的な航路で運航している船は、パナマに船籍を持っている割合が高いためだ。
船籍というのは人の国籍に近いものがあっても、人のように居住地や法律的な理由で国籍を選ぶ必要がない。日本で作られ日本で使われる船であっても外国船籍にすることは可能で、経済的な理由から、外国船を誘致して船籍を与えるという政策を行っている国もある。その多くは先進国ではなく、そうした国(便宜置籍国という)の代表格がパナマなのだ。
パナマ船籍を持つ外国船の数は、パナマの船の8割にも上り、その外国船籍の中でも日本の船が半分近くを占める。どうして日本の船がパナマ籍を持ちたがるかというと、これはほとんどの理由が税金の問題である。どこの国の船籍であっても同じように世界で運航できるのなら、税金は安いほうがいい。更に船に適用される法律は、船籍の国の法律になり、法律の違いも船籍を選ぶ理由の1つになっているのだ。