海の水はしょっぱい。これは当たり前のこととして知られており、なぜ海水が塩分を含むのか考えたことはあるだろうか。もちろん、歴史的に誰かが大量の塩を投下した結果ではなく、地球の大部分が海水であることからも、海水の塩分となる塩はどこから来たのか不思議に思うところだ。
日常的に調味料として使われる塩(食塩)というのは、塩素とナトリウムの化合物である。つまり、塩という化合物として存在しなくても、塩素とナトリウムが個別にあれば塩を作りだすことは可能だ。
地球の創成期には海はなく、地表温度は現在よりもはるかに高かったと考えられている。この状況下では水分は水蒸気として大気中にあり、大気には塩素ガスを含んでいた。地球の温度が下がると、水蒸気に含まれる水分は気体として存在できず液体に変わり、塩素を含んだ雨が降ってくる。これはまさに塩酸の雨である。
こうして塩酸を含む海が作られたが、塩酸は大地の成分と反応し、ナトリウムが海水に流出する結果となった。ここでようやく塩素とナトリウムが両方揃い、海水がしょっぱい理由と考えられている。