かつおのたたきはなぜ焼いて食べるの?

Vol. 847
 かつおのたたきはなぜ焼いて食べるの?

酒のつまみとしてファンも多いのが、鯵やまぐろのたたきで、ネギなどの薬味と一緒に細かく包丁で刻む様子は、まな板の上で叩いているようなので、たたきという料理名がついても全く不思議ではない。だが、土佐(高知県)の名物かつおのたたきというと、一般には表面を火であぶった棒状のカツオの身を、切り分けて薬味と一緒に食べる調理法で、たたきという言葉を何も連想させない。

このかつおのたたきの「たたき」については、諸説あって実際に薬味や塩、たれなどの味付けをすりこむために、かつおの表面を叩くという説があるが、かつおのたたきにおいて、かつおに下味を付けることは必須ではない。また、調理後において薬味をのせて叩くかというと、そうとも限らないため、たたく動作以外のたたきの由来も存在する。

表面をあぶるという調理法については、かつおを生で食べることを禁じられた江戸時代初期の土佐の人々が、火であぶっているので焼き魚だと称するためにされたという説が有力だ。切り身に大量の薬味をかけるのも、かつおの臭み消しだけではなく、切り口から生であることがばれないようにしたという説もある。