親鸞の寿命

Vol. 849
 親鸞の寿命

浄土真宗の宗祖親鸞は、90歳という当時としては破格の長寿であったとされる。しかしその生涯は波乱であり、決して穏やかな道を辿ってきたとは言えない。

日野家という貴族の生まれである親鸞は、9歳で出家し、比叡山にて20年修行を重ねるが、悟りには至らず山を下る。その後、聖徳太子を崇拝する親鸞は、六角堂にて100日間参籠(さんろう、神仏に祈願をすること)し、95日目に夢告(夢の中でお告げ)を受け法然の元へ行く。法然を教えを受けた親鸞は、自らの信ずる道を見つけるも、そこには厳しい現実が待っていた。

時の後鳥羽上皇の寵愛を受けていた女性が、後鳥羽上皇不在の折に念仏会に参加し、説法を聞くために夜更けであったことから御所に僧侶を泊めてしまう。それが激しく上皇の怒りを買って、僧らが処罰される事件が起こった。その流れで法然と親鸞も流罪になり、親鸞は越後(新潟)へと流される。ここで僧籍を剥奪される親鸞は、生涯において非僧非俗(僧にあらず俗にあらず)を貫いたという。

60歳を過ぎてようやく京都に戻り、そして晩年を過ごすことになる親鸞は、90歳で生涯を終えるまで著作の執筆に力を注いだとされている。